読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

妊娠した時の読み物

妊娠に関する様々な知識や使い方を「読みもの」として紹介していくサイトです。

ジカ熱はどんな病気?妊娠に対する影響は?

ジカ熱はどんな病気?妊娠に対する影響は?

f:id:tmura3:20160415080454p:plain

ジカ熱とは?

ジカ熱はジカウイルス(ZIKV)による蚊媒介感染症です。近年、新しく患者が増えてきている感染症(新興感染症)として注目されています。ジカウイルスはウガンダエンテベ近郊のジカの森(Zika Forest)のアカゲザルから1947年に発見されました。人間からは1968年にはじめてナイジェリアで分離され、デング熱の原因であるデングウイルス、日本脳炎の原因である日本脳炎ウイルスなどと同じフラビウイルス科に属します。ネッタイシマカやヒトスジシマカなどのヤブカ属が媒介する蚊媒介感染症の一つです。

 

ジカ熱の流行地域

ジカ熱は、セネガルウガンダガボンタンザニアなどのアフリカ大陸,カンボジア、インド、インドネシア、マレーシア、パキスタン、フィリピン、シンガポールベトナムなどのアジア大陸ミクロネシアのヤップ島、ニューカレドニアクック諸島などでみつかっています。しかし、実際のジカ熱にかかったという報告はこれまでにウガンダ、ナイジェリア、カンボジア、マレーシア、インドネシアからの報告があります。

これまでは大規模な流行の報告はありませんでしたが、2007年のミクロネシア連邦のヤップ島での集団感染(アウトブレイク)があり、約300名の感染者がでたと報告されています。また、2013年9月よりフランス領ポリネシアで始まったジカ熱の大流行は,ニューカレドニアクック諸島にも波及し感染者は3万人以上にも上ると推計されています。

 

日本におけるジカ熱

日本でも2013年1月,2014年1月にそれぞれフランス領ポリネシアからの帰国者が発症した輸入症例が報告されています。また、2014年8月にタイのサムイ島から帰国した日本人がジカ熱と診断されています。タイ国内ではこれまでにジカ熱と診断された症例は報告されていないものの、タイ帰国後の輸入ジカ熱症例がドイツおよびカナダで
それぞれ1例ずつ報告されていますので、タイでも潜在的にジカ熱が蔓延している可能性が考えられます。

 

ジカ熱の症状

ジカ熱潜伏期(感染してから症状が出てくるまで)は10日未満と推定されていますが明らかになっていません。ジカ熱の症状としては、発熱、頭痛、関節痛、結膜充血、皮疹が高頻度で認められます。通常は3~12日間程度症状が持続します。発熱はデング熱と比べて高くならないことも多く、臨床症状も全体的にデング熱より軽症なことが多くただの風邪と考え医療機関を受診しない人が多いことも発生地域では問題になっています。

 

ジカ熱の皮疹

皮疹は通常頸部から四肢に広がります。似た病気のデング熱では解熱の時期に前後して皮疹が出現することが多いですが、ジカ熱では発熱期から皮疹が出現していることが多いようです。

 

ジカ熱の血液検査所見

血液検査上は、特に特徴のある所見はありません。デング熱チクングニア熱にみられる白血球減少や血小板減少は少ないといわれていますが、日本でのフランス領ポリネシアからの輸入ジカ熱の2症例いずれも軽度の白血球減少と血小板減少を認めています。

 

ジカ熱の治療と予防

ジカ熱に対する特異的治療はなく、対症療法(熱が出れば熱冷まし、食事がとれないなら点滴を行うなど)のみです。一般にデング熱と比較し軽症であり、これまでに死亡例は報告されていない。具体的には防蚊対策、①蚊が多い時間・時期・場所を避ける、②肌の露出を最小限にするため長袖・長ズボンを着用する。③防虫剤を適切に使用する、④蚊帳の使用などを行うことが有効とされています。

 

厚生労働省からの情報まとめ

ジカ熱流行地域への渡航

妊婦及び妊娠の可能性がある方は、可能な限り流行地への渡航を控えてください。やむを得ず渡航する場合は、主治医と相談の上で、厳密な防蚊対策(①蚊が多い時間・時期・場所を避ける、②肌の露出を最小限にするため長袖・長ズボンを着用する。③防虫剤を適切に使用する、④蚊帳の使用)を講じることが必要です。

ジカ熱は日本で流行するのか?

2014年には日本国内でジカ熱と同じ蚊を媒介とするデング熱の流行がみられました。2015年以降もデング熱の国内発生には注意することは当然ですが、デング熱と同じく蚊媒介性感染症であるチクングニア熱とジカ熱もヒトスジシマカによって媒介されうるため、デング熱と同様の警戒が必要と厚生労働省は考えています。現在、ジカ熱の原因となるウイルスを媒介するヒトスジシマカは日本国内では青森県の南端まで分布していることがわかっています。この地域までは国内発生のデング熱チクングニア熱、ジカ熱が発生する可能性があります。

 

ジカウイルスに対する各国の対応まとめ

ブラジル保健省は、妊娠中のジカウイルス感染と胎児の小頭症に関連がみられるとの発表しています。 2016 年1月 15 日には、米国 では妊娠中のジカウイルス感染と小頭症との関連についてより詳細な調査結果が得られるまでは、流行国地域への妊婦の方の渡航を控えるよう警告し、 妊娠予定の女性に対しても主治医と相談の上で、厳密な防蚊対策を推奨しました。 1 月21日には、 ECDC (欧州疾病対策センター)は、流行地域への妊婦及び妊娠予定の方の渡航を控えることを推奨しました。世界保健機関(WHO)は、 2 月 1 日に、緊急委員会を開催し、小頭症及びその他の神経障害の集団発生に関する「国際的に懸念される公衆の保健上の緊急事態( PHEIC )」を宣言しました。

 

厚生労働省によるジカ熱に対する勧告

  • ジカウイルスの伝播がある地域等への(からの)渡航や貿易についての一般的な制限はない。
  • 妊婦はジカウイルス感染症が発生している地域への渡航をしないよう勧告される。ジカウイルス感染症が発生している地域に住んでいる又は渡航するパートナーのいる妊婦は、妊娠期間中は、安全な性行為を確保するか性行為を控える。
  • ジカウイルス感染症が発生している地域へ渡航する人は、可能性のあるリスクや蚊による刺咬の可能性を低くするための適切な措置についての最新の勧告を入手し、帰国後は、伝播のリスクを下げるため、安全な性行為を含めた適切な対策をとる。
  • WHOは、ジカウイルス感染に関するリスクの性質や期間についての情報とともに渡航についてのガイダンスを定期的に更新する。

 

学術書からの報告まとめ

米英の臨床系雑誌「New England Journal of Medicine」と「Lancet」誌から、「ジカ熱ウイルス感染と小頭症を含む胎児発育異常」、「ジカ熱とギランバレー症候群」の関連を強く示唆する報告がされています。

 New England Journal of Medicineのジカ熱に関する論文要旨

2015年9月から2016年2月の期間に登録された88名のジカ熱感染疑いの妊婦を調査を行ったところ、88名のうち、72 名(82%)が、血液や尿検査でジカ熱ウイルス感染陽性と診断されました。72名の陽性患者のうちの42名と陰性の妊婦16名に対して超音波検査を行ったところ、コントロール群(陰性の妊婦)16名には超音波検査で異常は見つからなかったが、陽性群(ジカウイルス検査陽性)では12名で胎児に超音波検査で何らかの異常が認められた。このうち2例が妊娠36週と妊娠38週で死産という不幸な転帰をたどっています。また、5名の胎児では、子宮内での発育遅延(小頭症を含む)が確認されていました。

 

 

ジカウイルス感染があぶない妊娠週数は?

ジカ熱感染は他の感染症と同じく妊娠初期の感染が胎児に影響を及ぼすと考えられていた。しかし、 「New England Journal of Medicine」の報告で異常の見つかった12例の胎児中、8例の感染時の週齢は20週以降、5例は25週齢以降でした。つまり、胎盤が形成され胎児がちゃんと育っている妊娠中期以降に感染しても奇形のリスクがあるということになります。