妊娠した時の読み物

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「助産ケアのエビデンス!分娩中の産婦への酸素投与は胎児機能不全の回復に効果がある?」

分娩中に胎児機能不全の徴候が見られたとき、産婦への酸素投与を行います。しかし、産婦への酸素投与を行っていたにもかかわらず、児の状態が悪い場合もあります。

では、分娩中もしくは分娩前に胎児機能不全の徴候が見られる産婦へ酸素投与を行った場合と、プラセボ投与もしくは何もしない場合とを比較して、胎児の状態は良好なのでしょうか?また、分娩第2期の産婦に予防的に酸素投与をおこなうことで胎児機能不全の発症を防ぐことはできるのでしょうか?

 

研究と結果

分娩中の胎児機能不全に対する妊婦への酸素投与の効果および、分娩第2期の予防的な酸素投与効果を比較したランダム化比較試験では、アウトカムは臨床的に重視される項目であり、対照群はプラセボ投与または、投与なしを設定しました。

産婦と新生児のアウトカムは、吸引分娩、鉗子分娩、帝王切開、産婦の満足度、異常胎児心音、臍帯動脈血PH7.2未満、1分後のアプガースコア7点未満、5分後のアプガースコア8点未満、新生児蘇生、新生児脳症、重症な新生児疾患、または新生児死亡、小児の障害にて検討しました。

その結果、文献検索にて5件のうち2件がレビューに採択され、Strlmaiの研究は、160人の正常分娩の産婦に対し、分娩第2期を通して酸素を投与する群としない群にランダムに割り付けしたもので、Thopらの研究では、86人の産婦を対象にして同様の介入を検討したランダム化比較試験で、胎児機能不全が見られる産婦への母体酸素投与に関する研究はありませんでした。

分娩第2期の予防的酸素療法の評価については、評価指標の中に臍帯動脈血のPH値がアシドーシスに傾いているものは酸素投与群に多く、臍帯動脈血酸素含有量では有意な差は認められませんでしたが、酸素投与群では減少傾向にありました。

また、酸素投与の持続時間にかんしては10分以上酸素投与を受けた人よりも、10分未満であった人の臍帯動脈のほうが高かったのですが、他研究では産婦に対する酸素投与の持続時間は、臍帯血のPH値には影響していませんでした。

 

結論

胎児機能不全に対する妊婦への酸素投与が胎児へ与える影響についてのエビデンス情報はなく、分娩第2期の予防的酸素投与の使用を支持するだけの十分なエビデンスはありませんでした。

今後、新しいエビデンスに注目し、産婦への酸素投与に関するスタンダードについて検討する必要があるようです。