妊娠した時の読み物

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「助産ケアのエビデンス!不妊治療後の産婦は産後うつになりやすい?」

 

生殖医療の進歩に伴い不妊治療を受けて妊娠・出産する女性が増加しました。不妊治療を受けて妊娠・出産した女性はその過程において、様々なストレスを受け、不安を持ち続ける、自己肯定間が低くなりやすいなど心理的な特徴が明らかになっています。

そのため、周産期ケアを行っているスタッフからは、不妊治療後の女性は妊娠・出産をゴールのように感じやすく、母親としての役割を獲得する過程に問題が生じやすいなどの声をきくことがあります。

では、不妊治療後の産婦は自然妊娠の産婦と比べて産後うつ病になりやすいのでしょうか?

 

研究と結果

ハンガリーの産科施設で20041月から20065月の間に出産後ケアを受けたすべての女性1987名のうち、研究参加の承諾が得られ回答が有効であった女性1656名に産後うつのなりやすさについて、身体面、心理面の特徴を24項目で測りました。

その結果、うつ病のなりやすさの程度をLQスコアの判定基準レベル3段階(なし、中等度、重度)で示し、それぞれの割合をみたところ研究参加者全体のスコアは「なし」46.1%、「中等度」38.1%、「重度」15.8%でした。

また、妊娠前の不妊あり群は「なし」42.9%、「中等度」39.2%、「重度」18.0%であり、また不妊なしの群も46.7%37.1%、15.1%とほぼ同様の割合でした。

また、不妊治療あり群は「なし」39.0%、「中等度」42.0%、「重度」19.0%に対し不妊治療なし群では46.6%、37.9%、15.6%であり統計学的な有意差はなく、長い不妊治療期間はうつ病のなりやすさ、つまりLQスコアの得点と高い相関があるという結果でした。

その他の結果として望まない妊娠や好ましくない産科既住歴がある場合、スコアに有意差がありスコア10点以上(なりやすさあり)を10点未満のグループと比較したところ、望まない妊娠であった場合は約2.27倍好ましくない産科既住歴がある場合では、約5.65倍もの高率で10点以上が見られました。

 

結論

不妊および不妊治療の経験の有無と産後うつ病のなりやすさには統計学的な有意差はなく、不妊治療後の産婦は自然妊娠の産婦と比べて産後うつ病になりやすいとはいえません。

しかし、不妊治療の年数と産後うつ病のなりやすさは相関がみられ、不妊治療の年数が長いほど産後うつ病になるリスクは高いようです。