日本婦人科医会施設情報調査2009では、全国の分娩の98.4%が病院または診療所で行われています。
この結果からすると、日本における助産所または自宅での分娩は分娩全体の2%未満ということになります。
このような中、2010年7月、米国婦人科医会誌にWax氏らによるメタアナリシスが発表され、自宅分娩は病院分娩に比べて分娩の医療介入が少なく、新生児死亡は約2倍になるという結果が発表されました。
では、自宅分娩と病院分娩では母親と児の分娩結果に違いはあるのでしょうか?
■研究と結果
今回のメタアナリシスは、1970年代から2009年までの間に米国、カナダ、英国、スウェーデン、スイス、オランダ、オーストラリアなどの欧米各国で行われたコンホート研究を用いた研究で、計画的な自宅分娩と計画的な病院分娩の分娩アウトカムを比較したものです。
その結果、237件が抽出され、レビューには12研究を採択しました。
・母親のアウトカム
病院分娩の場合よりも、自宅分娩のほうが母体への医療介入リスクは低く、分娩に伴う合併症のリスクも低いという結果でした。
・児のアウトカム
早産や低出生体重児のリスクは、自宅分娩のほうが低かったのですが、過期産や胎児発育過剰、新生児の蘇生が必要になるリスクは病院分娩よりも自宅分娩のほうが高かったようです。
■結論
自宅分娩は低リスクの経産婦や、お産を自分でコントロールしたいと望む妊婦などが選択する傾向にあると考えられ、今回のメタアナリシスに採択した研究でも、自宅分娩群の妊婦は、低リスクの経産婦であったことを考慮すると、自宅分娩のほうが医療介入や分娩合併症リスクが低く、過期産のリスクが高いという結果でした。
また、このような自宅分娩群と病院分娩群における妊婦の特性の違いは、周産期死亡リスクを自宅分娩群では低めに見積もり、病院分娩群では高く見積もることにつながり、その結果として2群間の違いが認められなかったと