妊娠した時の読み物

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「助産ケアのエビデンス!児の分娩後臍帯クランプをするタイミングが早いか遅いかによって母子の予後に違いはある?

 

我が国の多くの産科施設では、児娩出後、ただちに臍帯を切断し子宮収縮薬を母体に投与し、胎盤娩出を行うという一連の流れがルチーンのケアとなっています。

一方助産所では、児の娩出後臍帯がついたままの児が母親の胸に抱かれ、臍帯の拍動が停止してから臍帯を切断し、胎盤を娩出するというケアを行っているところが多く、子宮収縮薬の投与は行いません。

このように分娩第3期の管理には多くの産科施設のように積極的に医療介入する管理方法と、助産所のように医療介入しない待機的な管理方法とがあります。

では、児の娩出後、臍帯をクランプするタイミングによって、母体や新生児の予

後に違いはあるのでしょうか?

 

研究と結果

アルゼンチン、オーストラリア、カナダ、インド、リビア、メキシコ、英国、アメリカ、ザンビア9か国で計2989人の母親とその新生児が対象となった研究で、11文献が採用され、母体のアウトカムとして4文献1878人の女性において、早く臍帯クランプした群と遅く臍帯クランプした群との間に分娩後出血に関する有意な差は認められませんでした。

また、新生児のアウトカムとして、遅く臍帯クランプした群に利点と害の両法が見られ、害としては早く臍帯クランプした群は遅く臍帯クランプした群に比べて、光線療法が必要な黄疸の新生児数が有意に少なかったようです。

これは、遅く臍帯クランプした群が早く臍帯クランプした群に比べて、新生児のヘモグロビン値が有意に上昇することによって起きていましたが、この影響は生後6ヵ月までは持続しませんでした。

一方、利点としてはフェリチン値が生後6ヵ月においても遅く臍帯クランプした群のほうが、早く臍帯クランプした群に比べて高い値を維持していました。

 

結論

少なくとも、2~3分の臍帯クランプの遅れは分娩後出血のリスクを増加させることはありません。加えて遅い臍帯クランプは、特に栄養状態の悪い地域における新生児にとって、臨床的に価値のある鉄分レベルを向上させるという利益もある一方で、光線療法が必要な黄疸のリスクも増加させるため、より健康な正期産の新生児において、遅い臍帯クランプというアプローチは黄疸の治療である光線療法へのアクセスが容易であれば、新生児の貯蔵鉄を上昇させるという長期的な利点となる可能性があります。