妊娠した時の読み物

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「助産ケアのエビデンス!妊娠後期のルーチンでの超音波スクリーニングは必要?」

超音波画像診断が本格的に導入されたのは今から約20年前のことです。この間、器械の性能の飛躍的によくなり、妊娠初期から胎児の様々な様子が分かるようになってきた結果、産科診療の常識は大きく変わり現在では画像診断のない診療は考えられなくなってきました。

そして昨今では妊婦への超音波スクリーニングは胎児の異常を発見し、周産期死亡率を低下させるなどの目的のためにも必要不可欠となり、ルーチン化されてきています。
では、妊娠後期の妊婦にルチーンで超音波スクリーニングを行うことは、行わないことに比べて周産期死亡率を低下させるのでしょうか?
今回は妊娠後期のルチーンでの超音波スクリーニングについてご紹介します!

■研究と結果
スウェーデンの妊娠後期にルーチンで超音波スクリーニングを行っている病院と、ルチーンでスクリーニングを行っていない7つの地方の病院で、スウェーデンの単胎妊婦実験群56371人、対照群153355人を対象に研究が行われました。
その結果、出生体重を4つのカテゴリーに分け、周産期死亡率と乳児死亡率はいずれにしても、介入群と対処群において有意差は見られなかったようです。
また、相対リスクはいずれも1.0以下で、0.9前後でした。
このことは、ルーチンで超音波スクリーニングを行っても周産期死亡率と乳児死亡率は減少しないことを示しています。
さらに、4つのカテゴリーではいずれにおいても、帝王切開率、器械分娩率、低アプガースコアは介入群と対照群との間に有意差はみられませんでした。

■結論
妊娠後期にルーチンで超音波スクリーニングをおこなうことは、周産期死亡率や乳児死亡率、低アプガースコア、帝王切開、器械分娩の発生率の低下に有効ではないことが明かされました。
しかしこの論文には、奇形などそのほかの異常の発見についてのアウトカムがないことから十分ではない部分もありそうです。今回の論文は質も高く、臨床で妊婦を対象とした場合と状況が類似していることから、その結果は毎日の臨床に適応できそうです。したがって、妊娠後期にルチーンで超音波スクリーニングを行う必要性はないのではないかと考えられますが、エビデンスの活用についてはいろいろな側面からの考察が必要になります。
また、昨今超音波スクリーニングの目的が多様化していることからも、妊婦の希望や状況を考慮したうえで、超音波スクリーニングを施行することは意義があるかもしれません。