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妊娠した時の読み物

妊娠に関する様々な知識や使い方を「読みもの」として紹介していくサイトです。

助産ケアのエビデンス!ルチーンの会陰切開は必要?

会陰切開についての最初の記述は、今から300年以上も前にさかのぼりますが、頻繁に行われるようになったのは1920年代からと言われています。

しかし、本格的なルチーン化は20世紀に入ってその他の医療介入が一般的になっていくのと同時に進んだとされており、会陰切開を行うほうが自然に裂傷を引き起こすよりも傷の治りが早い、第4度裂傷のリスクが減るなどとしてルチーン化が勧められてきました。

今回は、会陰切開の有効性についてのエビデンスをご紹介します。

 

会陰切開の定義

制限的な会陰切開は、「胎児の状態が悪い場合のみ切開する」「医学的に必要なときのみ切開する」「裂傷を避けるための切開は行わない」など定義されていますが、ルチーンの会陰切開は、「慣例的に行われる切開」「通常の処置」「裂傷を避けるために行われる切開」と定義されていました。

 

会陰の損傷

制限的な会陰切開とルチーンの会陰切開の効果を比べたRCT7つあり、対象者は合計5001人で、7つのうち6つは側切開、残りの1つの研究は正中切開を行っていました。裂傷なしの割合について、5論文を統合した結果ルチーン群のほうが制限群よりも少なく、3度、4度裂傷については7論文中5論文がルチーン群で多かったとされています。

 

会陰の疼痛

会陰の疼痛について調査した研究は、5つありましたが、ルチーン群で痛みが軽かったという結果を得た研究は1つもなかったのですが、これらの研究は痛みの測定方法と測定時間がバラバラなため、結果の統合はできませんでした。

 

治癒過程

2論文で治癒過程の検討をしていましたが、結果は統合されておらずそれぞれの報告で血腫の形成、感染、縫合離開、その他治癒過程での合併症の割合は差がなかったそうです。

 

切開のタイプ

研究としての質は高くないものの、正中切開と側切開を比較した研究が1つだけあり、正中切開群でより多くの合併症が発生していました。4度裂傷につながってしまうような創部の延長は正中切開群で24%、側切開で9%で、痛みについては両群間で差はありませんでした。

 

尿失禁、便失禁、骨盤症筋群の損傷

5論文の統合において、会陰切開群と自然裂傷群の間に差はなく、会陰切開が骨盤症筋群の損傷や失禁を防ぐというエビデンスは存在しませんでした。

 

性交の再開時期、性交痛

性交の再開時期や性交痛については、会陰切開を受けた群と受けなかった群との間に差はありませんでしたが、そのうち2つの研究の結果を統合したところ、会陰切開を受けた女性は、受けなかった女性に比べ、分娩3ヶ月以内の性交で痛みを訴えるものが1.53倍多いという結果でした。

 

結論

ルチーンでの会陰切開は、制限的な会陰切開に比べて、母体に対する利点はなく、実際のところ会陰切開を受けることは、より小さい傷ですむかもしれない可能性をなくしてしまうという意味において有害であると結論付けられました。